部分矯正とは?
部分矯正とは、歯全体を動かすのではなく、見た目が気になる部分や治療で必要な部分の歯だけを部分的に動かすという矯正治療のことで、特徴としては、動かす歯が1本~数本で済むということです。歯全体を動かす通常の歯列矯正の目的は歯並び、そして全体のかみ合わせを整えることですが、部分矯正ではかみ合わせには影響無く、歯並びを綺麗にすることを前提として治療していきます。部分矯正を行うとかみ合わせがずれるなど問題が起こる場合は歯全体の矯正を行わなければなりません。ブリッジ、インプラント治療、根管治療後の被せ物治療の際、歯並びを矯正するために部分矯正を行う場合もあります。
治療可能な歯並び
前歯(出っ歯、歯の隙間、傾斜など)
前歯の歯並びはコンプレックスになりやすく、お悩みの方も非常に多いです。
出っ歯、歯の隙間、傾斜など、どうしても目立つ前歯はコンプレックスの原因になりやすいのです。このような前歯の目立つ歯並びはかみ合わせに問題がなければ部分矯正で治療を行うことが出来ます。
八重歯
顎の骨が小さかったため歯が正しい位置に生えるためのスペースが無く、ずれて生えてしまっている状態が八重歯です。部分矯正での八重歯の治療法には「スライス」「抜歯」「顎を広げる」の3つがあり、患者様の症状を見て最も適した方法で治療を行います。ただし、八重歯の見た目だけを治そうとするとかみ合わせが悪くなってしまうこともあり、全体矯正が必要になる場合もあります。
部分矯正のメリット・デメリット
部分矯正のメリット
- 全体矯正に比べ安価で治療可能
- 治療期間が短い
- 矯正装置の装着は一部だけなので目立ちにくい
- 装着した時の違和感が少ない
部分矯正は全体矯正に比べると費用が抑えられ、また、治療期間も短く済みます。治療する範囲や場所によっても変わりますが、装置をつける数が少なくなるため目立ちにくく、更に違和感も感じにくいというのが大きなメリットと言え、全体矯正に比べると比較的ストレスが無く、快適に過ごして頂くことが可能です。
部分矯正のデメリット
- 全体のかみ合わせが治るわけでない
- 適応できない場合もある
- 全体矯正に比べると機能的、審美的に劣る
歯と歯の隙間を閉じたり、抜歯間近の歯根活用のためコントロールを行ったり、埋まって生えて来れなくなってしまった歯を出したりと、部分矯正は大変有効な治療方法です。とはいえ適応出来ないケースや、全体のかみ合わせの治療が出来るわけではないということを考えると、全体矯正に比べて劣ってしまうのも事実です。
部分矯正で使用する装置
カスタムメイド型マウスピース装置(インビザライン)
部分矯正には、従来のワイヤーやブラケットだけでなく、透明で薄いマウスピース矯正装置であるカスタムメイド型マウスピース装置(インビザライン)を使用することがあります。この際に使用するマウスピース矯正装置は、インビザライン・ライトといい、着脱式の矯正装置のため、食事や歯磨きに支障をきたしません。これにより、日常生活においても矯正装置を装着したままで過ごすことができ、患者さんの生活の質を向上させることができます。
ワイヤー矯正
歯の表側にブラケットを取り付け、そこに通したワイヤーの力で歯を動かす方法は、従来から広く使われている矯正法です。ブラケットは通常、6〜10個使用されます。一方、全顎矯正では通常24個のブラケットを使用することを考えると、部分矯正の装置はかなり小規模と言えます。部分矯正の装置はマウスピースよりも目立ちやすいため、見た目の美しさを重視する方にはマウスピース矯正が好まれることがあります。一方で、部分矯正の装置は矯正力が強力であり、歯の動かし方を細かく制御できる優れた性能を持っています。